金融機関に預けているお金は故人が死亡した時点から遺産相続の対象となるため金融機関への死亡の届け等により口座の取引を停止します。(預貯金の凍結)
該当する取扱いがコンピューターによりロックされ、窓口でもキャッシュカードでも引き出せなくなります。名義人の口座の凍結は一般的には遺族等(相続人)の金融機関への死亡の届け出により凍結されます。(区役所や市役所へ死亡届けを提出しても各金融機関に連絡は行きません)金融機関の窓口ではまとまった現金を引き出す際に必ず本人かどうかの確認をします。ここで口座名義人の死亡の事実を確認すると預貯金等は遺産相続の対象となるため遺族等本人以外の人は窓口で現金の引き出しや定期預金の中途解約はできないことになります。
但し、人が亡くなることは予期できないことでありお葬式の費用、医療費の支払いなど当面の生活費に係るお金を預貯金から引き出す場合、金融機関は相談に応じることはあります。この場合、口座名義人に代わって家族など名義人以外の人が引き出すことになるため法定相続人全員の承認の意味も含め、戸籍謄本・印鑑証明書・各金融機関専用書類、なかには保証人も必要な場合もあります。
なお、引き出す金額には限度があり150万円位が目安です。
他には死亡した人の口座が停止されることにより口座への入金や送金も記帳もできなくなります。自動引き落としになっている公共料金の支払いもストップします。(電気・ガス・水道の支払通知書の連絡先へ電話で連絡しましょう)
注意:各カード・各ローンの支払いがある場合、まず電話で連絡しましょう。延滞金の恐れがあります。電話はNTT窓口で加入承継・改称届書にて申し込みます。故人の除籍謄本(死亡診断書可)・承継者の戸籍謄本・印鑑等が必要です。
死亡保険金は受取人の固有財産です。他の相続人との協議は不要です。
(保険契約の際、受取人を死亡者本人と指定している場合は相続財産となり協議が必要になります)
保険会社の指定する書類を提出すれば保険会社にもよりますが1か月位が保険金を受け取る目安ではないでしょうか(事件や事故は別です)
具体的な金融機関の手続き
【銀行】
【郵便局】
ここでは、同意書に印鑑証明書付きの実印は求めていませんが後日正式な相続手続きの際には必要になると思いますので法定相続人の同意書は実印で法定相続人全員の印鑑証明書(3か月以内のもの)の用意をしておくと安心です。また各金融機関や役所により必要書類が異なる場合も考えられますので確認してください。
*遺言書がある場合は必要書類がかわることもありますので関係機関へ確認してください。
年間1人110万円迄は贈与税が無税なので、例えば相続人3名の場合それぞれ非課税範囲内で不定期に生前贈与をおこないます(但し2年に1回)
毎年の生前贈与は連年贈与(毎年複数の法定相続人に対して贈与していく契約)とみなされ一時に税率の高い贈与税が加算されます。相続開始前3年以内の相続人に対する贈与は相続財産になりますが相続の対象となっても生前の非課税範囲内での現金の引き出しは問題が少ないでしょう。財産が移転した証明として金融機関(互いの通帳)に記録を残しておきましょう。連年贈与とは110万円の基礎控除額以内の額をこれより何年間か贈与するという契約です。毎年贈与する場合、連年贈与と認定されてしまうと一時に高い贈与税が加算されます。
連年贈与認定を避ける
1:贈与の都度、毎年贈与契約書の作成(双方連名で契約書を作成)
2:受贈者自身が口座をつくり、通帳と印鑑を管理します。(受贈者が財産管理をしているかが大切です)使用することによって立証形跡を残しておきます。
3:受贈者本人の預金口座への振込(口座から口座へ贈与を受けた記録を残す)
4:毎年、贈与する時期を変えます。
5:毎年、贈与する金額を変えます。(できれば異なる財産の種類で贈与する)
6:基礎控除を超える贈与をして贈与税申告書を作成、保存、納税します。
(例)基礎控除額を超える贈与120万円の贈与をおこない基礎控除額を引くと贈与10万円に対し税率10%で1万円申告し納税します。(贈与金額により税率は異なります)
相続税のかかる財産
① 現金・預貯金・有価証券・宝石・土地・家屋・貸付金・特許権・著作権等、金銭に見積することができる経済的価値のあるもの
② 死亡退職金・被相続人が保険料を負担していた場合の死亡保険金など
③ 被相続人から死亡前3年以内に贈与により取得した財産
④ 生前、相続時精算課税の適用を受ける財産を贈与の金額
⑤ 生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額を超える部分
⑥ 退職手当金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額を超える部分
相続税のかからない財産
① 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祀る道具(お墓は遺産分割協議時に項目として含めます)
② 死亡による弔慰金、花輪代、葬祭料など
③ 相続や遺贈による財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
④ 心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金
⑤ 生命保険金のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
⑥ 退職手当金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
⑦ 幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの
⑧ 国または地方公共団体や特定の公益法人への寄付など
⑨ 交通事故の加害者から遺族が受け取る賠償金
⑩ 国民年金や厚生年金をはじめとする公的年金の遺族年金
相続財産から差し引ける債務
① 相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができます。
② 葬式費用は債務ではありませんが、同様に遺産総額から差し引くことができます。(宗教者へのお礼、お布施は葬式費用に含まれますがお墓や仏壇仏具、香典返しは葬式費用に含まれません。但しいただいたお香典は所得として申告しなくてもよいでしょう)
*詳しいことは専門家の方々(司法書士・弁護士・税理士)へ相談しましょう。
*上記内容は2011年現在のものです。
相続の手続き
*各金融機関等より多額の借金、損害賠償、保証債務等マイナス財産がある場合は
注意してください。プラス財産で返済できる範囲であれば問題はないですが。
相続放棄をするためには相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に相談放棄の申し立てを行わなければなりません。死亡後に相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき、相続を承認したことになりその相続人は相続の放棄をできなくなります。
なお、葬儀費用にあてた場合、身分相応程度の葬式費用に遺産を使うことは相続を承認したことにならないとしていますが事前に確認されたほうがよいでしょう。